Webサイト運用は、企業によって様々な課題を抱えています。サイト運用において、ユーザーニーズに適したコンテンツを継続的に更新していく必要があります。しかし、近年はWebサイト用途の多様化により「自社で管理しているWebサイトが大規模化して、運用に大きな負担がかかっている」という情報システム担当者も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、Webサイト運用の基礎知識をはじめ、目的や運用に必要な作業、課題とその解決策、クラウドCMSの導入事例について解説します。
この記事のポイント
- Webサイト運用とは、品質を高めながらユーザーニーズに合ったコンテンツに最適化し続けること
- Webサイト運用の目的は、認知度拡大、リード獲得、育成、製品・サービス販売、人材採用など様々
- 重要な作業として、Webサイトの戦略立案・目標設定や運用ルールの策定、サイト分析、改善策の実施が挙げられる
Webサイト運用とは、Webサイト内で作成したコンテンツの品質を高め、可用性や高いセキュリティを維持しながら、ユーザーニーズに沿うように最適化していくことです。これらを実現するためには、具体的に以下のような業務を行います。
- コンテンツの更新や編集
- デザインやレイアウトの最適化
- アクセス解析・分析と改善/効果の測定
- セキュリティレベルの維持
- 定期的なコンテンツのバックアップ
- 問合わせ対応 など
これらの業務を繰り返して、ユーザーにとって有用な情報を提供し、Webサイト全体の価値を高めていきます。
Webサイトの運用には、マーケティングやブランディングなどさまざまな目的があります。特に、大きな組織では部門や部署ごとにサイトを運営する傾向があるため、多数のWebサイトが運用されます。
また、様々な目的を達成するために様々なシステムが組み込まれる他、外部の協力会社なども運用に関わるため、インフラ・体制ともに大規模化・複雑化が進んでいます。
Webサイト運用には様々な目的があります。ここでは、大きく4つに分けてみていきましょう。
Webサイト運用の目的の1つに、企業の認知度拡大があります。
ユーザーにとって有用な情報を提供し続けることで、「こんな商品やサービスが欲しい」という要求が出た企業が、自社を連想してくれるようになります。たとえば、「クラウドCMSを導入したいという要求に答えてくれそうなのはあの企業だ」「あの企業のWebサイトで商品やサービスの詳細を具体的に確認してみよう」と考えてくれるのです。
自社が広く認知されていく過程で信頼度も高まります。そのためにも、ユーザーのニーズを捉え、課題・問題を解決できるようにWebサイト運用を行うことが大切です。
Webサイト運用は、ユーザーとの接点を増やして見込み客を獲得し、育成していくことも目的の1つです。
見込み客の増加に比例して、自社の製品やサービスに興味を持つ、または利用してくれるユーザーも増やすことができるでしょう。ユーザーがWebサイトを介して自社に興味を持ち、「問題や課題を解決できるかもしれない」と思ってもらえるようなWebサイトを提供することが重要です。
Webサイトは、ユーザーにとって有益情報を提供するとともに、自社の製品やサービスの契約・購入につなげる重要な目的を担っています。
Webサイトのコンテンツは、ユーザーニーズに合わせた情報を提供できるという強みを持っています。必要な製品やサービスが特定できていないユーザーや、知識や情報を得るために訪問するユーザーにも、自社製品およびサービスを知ってもらう導線の1つとなるのがWebサイトです。
Webサイト運用は、人材採用にも活用できます。自社が有用な情報を発信して信頼性が増して認知度が上がれば、同職種を希望する人材の目にも広く触れるようになるでしょう。Webサイト内には採用情報はもちろん、社風や強みなどを発信するコンテンツも運用して、自社で働くことのやりがいやメリットをアピールしていくことも必要です。
Webサイトを運用していくには、様々な作業が必要です。ここでは、運用における3つの重要な作業を見ていきましょう。
Webサイト運用で重要なのは、Webサイトを運用する上での目標を明確化して全社で共有し、戦略的に目標を達成することです。Webサイトで何をどのように達成させるのかを定量的に評価し、繰り返し確認をしながら運用していきます。
たとえば、リードを増やして認知度を上げることを目標にする場合です。製品やサービスに関連する知識や事例などを掲載したオウンドメディアを立ち上げ、複数のキーワードのコラムを制作することで、広い範囲から見込み客を増やしていくという戦略が成り立ちます。
このとき、検索順位やアクセス解析、サイト内でのユーザーの動きなどを定量化して分析しながら、定期的にコンテンツのリライトや追加をする作業が必要です。
自社のコンテンツが様々なキーワードで検索上位に表示されればユーザーの訪問数は増えます。また、キーワードを検索する度に自社のコンテンツがユーザーの目に留まれば、認知度を上げるという目標も達成できる可能性が高まります。
ルール策定は、安定的なWebサイト運用に欠かせない作業です。運用ルールを整備しておくことで、コンテンツの更新作業やメンテナンス、情報共有や緊急時の対応などがスムーズになります。逆に運用ルールがない場合、Webサイト運用の作業が属人化しがちです。また、複数のWebサイトを運用している企業では、サイトデザインやテキストの書き方、セキュリティ対策の水準などがバラバラになってしまう可能性があります。
運用ルールはしっかりと策定してマニュアル化し、全社で共有するようにしましょう。
Webサイトの運用にあたり、設定した目標を達成できているかを確認する作業も重要です。アクセス数やコンバージョン率を確認するなどのサイト分析は定期的に行わなければなりません。定量化した目標値に達していなければ改善策を立案して実施する必要もあるでしょう。目標値に届かない場合は、根本原因を探る作業も必要です。
ここで記した作業の他にも、Webサイト運用に必要な作業は多岐にわたります。自社におけるWebサイト運用の知識やノウハウの有無、運用するサイトの数などによって、担当者への作業負荷も考慮・改善していかなければなりません。
Webサイト管理の主要業務のひとつが、サーバーやドメインの管理です。オンプレミスで管理をしている場合は、物理的なサーバー機器の定期的なメンテナンスやパフォーマンスの改善、サーバーを停止させないための多重化やシステム点検を行う必要があります。レンタルサーバーを利用している場合は、サーバーやWebサイトにアクセスできることを常に監視しなければなりません。
Webサイトで閲覧できる情報には、常に鮮度が求められます。そのため、各ページに掲載される情報はもちろん、オウンドメディアに載せる記事の追加・削除、古い情報の更新作業などが必要です。記事やコラムはSEOを意識した構成で、インターネット検索に上位表示させるための日常的なメンテナスが欠かせません。
更新作業においては、ライティングなどのコンテンツ制作はもちろん、Webサイトに掲載するためのコーディングや、サーバーへのアップロード作業も必要になるため、サイトに不具合が起きないように、更新ルールや体制を作る必要があります。
部門や部署から発信したい情報や、Webサイトで実現したい機能は常に変化します。サイト運用を行う所管部署は、社内からの依頼や要望を聞きながら、施可否を判断し、必要に応じて改修やリニューアルの対応を行います。
Webサイトの管理者は、社内外からの様々なお問い合わせに対応する必要があります。お客さまからの問い合わせはもちろん、社内においてもCMSの操作方法や、サーバーにアクセスできない、サイト表示が重いなどのトラブルに対応するのもWebサイト運用作業に含まれます。どちらも迅速さが求められるため、常にトラブルを回避するための防止策を施しておく必要もあります。
Webサイト運用を行う上では、企業によってさまざまな課題があります。ここでは、自社でWebサイト保守をしている場合と、保守を委託している場合の課題点についてみていきましょう。
自社でWebサイト全体の保守をしている場合は、保守の手間や負担が課題になります。
まず、Webサイトの更新やメンテナンスには常に人手がかかります。情報更新やメンテナンスは、定期的なものや突発的なもの、様々です。情報システムなどの担当者は、多くの業務を抱えながらWebサイト保守を負担しなければなりません。DX推進を担う情報システム部門にとっては、大きな課題のひとつとなります。
また、Webサイトの更新を行うには、利用しているCMSの機能熟知、コーディングやデザインのスキル、サーバーやネットワークなどのITインフラやセキュリティ対策に関するスキルが不可欠です。特に、セキュリティに関しては、サイバー攻撃の手法やそれに対応するためのセキュリティ知識を常に学習し適用していかなければなりません。
これら保守業務を継続的に行うには、知識と経験が必要不可欠ですが、社内で確保できる人材は限られるため、Webサイト保守においては常に人材不足が発生します。
Webサイトの保守業務を外部の制作会社にアウトソースしている場合にも、いくつかの課題があります。
委託先の保守体制が脆弱な場合、更新やメンテナンスを依頼した際の対応スピードが遅くなったり、品質が低くなったりすることが課題点です。対応の精度を担保するためには、細かな指示書を作成したり、対応後のチェックも欠かせません。何度も発生する不具合やミスに、少なからずストレスを感じている担当者も少なくないでしょう。また、Webサイトの数やシステムの複雑化によって増える大きなコスト負担も無視できない課題になります。
また、部門ごとにWebサイトが構築されると、それぞれ異なる制作会社が担当するなどして、デザインやセキュリティレベルがバラバラになりがちです。
WordPressを利用している場合は、セキュリティアップデートにも手間とコストがかかります。使用サーバーのEOLが迫ると大掛かりなリプレイス計画を立てる必要があることも大きな課題といえるでしょう。
しかし、Webサイト運用を内製にシフトしていく場合、CMSの導入は必須です。社内への浸透も考慮すると、「使いやすさ」も重要になります。詳しくは「企業組織でも簡単に使えるCMSとは?」で解説しています。
このように、Webサイト運用にはさまざまな課題がありますが、まず解決の検討しておきたいのが、「更新負担の一極集中」です。情報システムにサイト運用業務が偏ってしまうのは、専門知識の有無よりも、むしろ複雑になったシステムのもとで生じた属人化によるものと考えられ、Webサイトやシステムの統廃合により大きく改善できる可能性があるためです。
Webサイト更新作業を情報システム部門からコンテンツを所管する各部門に移管できるように、CMSや更新ルールを標準化し、必要に応じてWeb制作会社にアウトソースすることができれば、Webサイト運用負担の一極集中を解消することが可能です。また、サイト更新業務が各部門で完結すれば、社内の無用な指示出しやチェック作業が丸ごと削減され、スピーディな情報発信につながるでしょう。
WordPressなど、カスタマイズして利用するCMSを利用している場合「他の部門に更新を任せる」という発想は持ちづらいものですが、サイト更新に不慣れな人でも使えるCMSに乗り換えることで、コンテンツ更新作業の分業を前提にしたWebサイト運用体制が構築しやすくなるといえます。
また、サーバーやセキュリティなどインフラ保守は、クラウドに移行し、保守体制がしっかりしたWeb制作会社にアウトソースすれば、定期的なメンテナンスやセキュリティ対策などの作業も切り離すことが可能です。
内製化すべき作業とアウトソースする部分を明確化して適切に分けることで、Webサイト運用における「運用負担」という課題は解消することが期待できます。しかし、自社に最適なインフラ環境を整え、CMSを探し、既存のサイトを安全に移行させることは容易なことではなく、新システム導入後も、適切なサイト運用が行われるようにルールを定め社内浸透させていく必要もあります。
新体制の基盤となるシステムの選定や構築コスト、開発リスクを考慮した場合、サーバー・CMSがクラウドで一体となった「クラウドCMS」の選択が、最も有効な解決策といえます。
Webサイト運用における内製化実現については、こちらの記事も参考にしてください。
中央自動車工業株式会社は、クラウドCMSの「ShareWith」を導入することで、コーポレートサイトと採用サイトの運営をほぼ100%内製化することに成功しました。
たとえば、採用サイトの更新では、身近な社員のクロストークを掲載するコンテンツなどを公開しています。おもなコンテンツ例として、企画や取材、原稿作成や写真撮影を運用代行事業者に頼ることなく内製化できるようになりました。
ShareWithならば、「テキスト」「画像」「リンクの編集」に限定されているため、直感的な操作で簡単にサイト更新作業が可能です。また、編集範囲の制約が、デザインや細かいサイト調整を不要としています。これにより、Webサイト運用の手間が大幅に軽減されました。
今回ご紹介した事例の詳細については「社内外ステークホルダーへの効果的な情報発信により、自社の新しい姿をコーポレートサイトと採用サイトで体現」で詳しく紹介しています。
また、Webサイト運用の成功事例については、「【Webサイト運用事例】社内運用における課題をクラウドCMSで改善した事例を紹介」で紹介していますので、併せてご覧ください。
Webサイト運用は、ユーザーが求めるニーズに最適化し続けるために、様々な作業を的確に行わなければなりません。コンテンツの更新やインフラのメンテナンスなど、社内の限られたリソースで一極集中的に対応するため、負担が大きくなりがちです。そこで検討したいのがクラウドCMSです。サーバー・セキュリティが一体のCMSならばインフラ保守管理を事業者に任せることができます。さらに、目的に応じたCMSを選定すれば、導入時のカスタマイズ開発の手間もなくなります。
「ShareWith」は、サイト更新に不慣れな人でも安心して操作できる編集画面で、サイト更新業務の分業を実現させやすいクラウドCMSです。大規模化した複雑なサイト構成になっている場合は、「ShareWith群」によるサイト統合ソリューションでWebガバナンスの強化にもつながります。Webサイト運用の課題を解決したい情報システム担当者の方は、検討してみてはいかがでしょうか。
クラウドCMS「ShareWith群」の詳細については、こちらをご覧ください。
多数のサイト群を
AWS環境のCMSへ移行するなら