企業のWebサイト運用において、コンテンツの更新やインフラ管理に専任がつくことはまれです。このため、Webサイトが増え、運用の負担が大きくなると、Webサイト運用とは別に担っている通常業務に支障が出てしまいます。運用担当者の中には「Webサイト運用代行サービスを活用したい」「単純な運用代行ではなく、自社のニーズに合った形で内製化も視野に入れたい」といった複雑なニーズに応えてくれる代行サービスを探している方も多くいるのではないでしょうか。本記事では、Webサイト運用代行の主な業務や、Webサイト運用代行サービスを探す前に知っておきたいメリットやデメリット、内製化を可能にするための考え方、方法について解説します。
この記事のポイント
- Webサイト運用は情報システムなどのIT担当者に集中してしまう
- 運用代行サービス活用のメリットは、リソースやコストの削減、外部の専門知識と経験が活用できるなど様々
- 運用代行サービス活用のデメリットは、代行先の選定や綿密なコミュニケーションが難しいことなど
- 運用代行だけではなく、内製化への移行も視野に入れた支援を行ってくれるサービスを選択することが大切
Webサイト運用には多くの作業が伴う上、その全ての負担が情報システムなどのIT担当者に集中してしまう傾向にあります。
Webサイトの運用における課題には、以下のようなさまざまなものがあります。
- 更新やメンテナスに手間がかかる
- 日常業務との兼任が負担
- 専門的な知識やノウハウが必要
- 人材が足りない
また、運用をアウトソースした場合でも、すべての課題がクリアされるとは限りません。
- 委託先の保守体制が脆弱な場合がある
- サイト更新がスピーディに行えなくなる可能性がある
- 細かな指示を出すための手間がかかる
- コストがかかる
本来ならば、Webサイト運用を内製化したいという思いもあるでしょう。しかし、現状の社内体制などを考えると、Webサイト運用を支援してくれる会社にアウトソースせざるを得ないと考えている担当者も多いのではないでしょうか。
Webサイト運用の課題などについては、【大規模化したWebサイト運用業務でよくある課題と解決策を解説】で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
Webサイト運用の代行では、どのような作業が行われるのでしょうか。ここでは、運用代行サービスにおける主な作業内容をみていきましょう。
Webサイトを持つためには、サーバーとドメインが必要です。サーバーは定期的なメンテナンスやアップデート作業、ドメインは契約期間に応じた定期的な更新作業が必要になります。また、Webサーバーとブラウザ間のデータ通信を暗号化して安全に情報を送受信させる仕組みのSSL管理も、最低限のセキュリティ対策として必須です。運用代行サービスでは、これらWebサーバーのインフラおよびセキュリティ管理作業を任せることができます。
Webサイトで発信しているコンテンツの修正や更新作業も行います。最新情報やオウンドメディアの新規追加・修正、定期的な更新も運用代行サービスにおける主な作業です。コンテンツは一度作成したら完了するわけではありません。古くなった情報や検索順位が下がったコンテンツに対してSEO対策を施し、常に最新の情報へ修正・更新する作業を行います。
コンテンツの修正や更新作業にも大きく関わるのが、アクセス解析作業です。コンテンツへのアクセス数やどのようなユーザーがアクセスしているのか、どのページの閲覧数が多いのか、その他離脱率が高いページなどを分析します。この結果を基に、コンテンツの最適化作業を行います。また、それぞれのコンテンツがどのような状態で、どのように改善したのかといったレポート作成も、運用代行サービスの作業に含まれます。
どこまでの問い合わせに対応してもらうのか、どのように回答するのかなどの事前取り決めを行い、定型的な回答内容で対応できる問い合わせであれば、Webサイトからの問い合わせに対応してもらうことが可能なケースもあります。また、コンテンツが閲覧できない、表示に時間がかかるなどの障害対応も運用代行サービスの作業です。
新規にWebサイトを立ち上げる場合や、新しいコンテンツを制作する際も、Webコンサルティングとして支援してくれます。制作するコンテンツの目標、目標に合わせたターゲット分析やSEO対策が主な作業となります。たとえば、Webサイトでの集客効果を上げたり、コンバージョン率を向上させたりするなどの目標達成が可能です。
Webサイト運用代行サービスを活用することで享受できるさまざまなメリットをみていきましょう。
コンテンツの更新作業を行うには人材と時間が必要です。しかし、運用代行サービスを利用することで、更新業務を任せることができますので、リソースやコストが必要ありません。また、サーバーやネットワーク設備などのITインフラを用意するための社内リソースも必要なくなり、設備費や人件費などのコスト削減につながることも大きなメリットです。
Webサイトの運用には専門知識が必要です。しかし、自社には無い知識やノウハウが必要な業務も代行してくれるため、スキルや専門知識を持つ人材を育成したり雇用したりする必要がありません。Webサイト運用を請け負うWeb制作会社には、蓄積されたノウハウや知識、経験に裏付けされたプロの運用を任せられます。たとえば、OSやミドルウェアなどのソフトウェア更新、最新のセキュリティ対策、サーバー負荷を監視して常に快適な処理速度を保つなど、専門知識と経験が必要な業務を外部に頼れることがメリットの1つです。
動作が重い、サーバーがダウンしたなどのトラブル時には、迅速な対応が求められます。また、このような問題が発生した場合に素早く検知してダウンタイムをできるだけ短くすることも大切です。このような、自社内だけでは手が回らないトラブルや、気づくことが難しいパフォーマンスの調整などを任せることができるのも、Webサイト運用代行サービスを活用するメリットだといえます。
一方、Webサイト運用をアウトソーシングする場合、以下のようなデメリットもあります。
- 提供事業者のサービス内容の違いがわからないため、アウトソース先の選定が難しい
- 自社がアウトソース先に求める作業内容や品質、内製化できる作業の正確な把握が難しいため、適正な料金を見極めにくい
- 詳細な更新内容の準備や正確な伝達が必要なため、更新作業などにおいてスピード感を出すのが難しい場合がある
- 情報更新(開示)において、自社のルールやセキュリティレベルを共有するための綿密なコミュニケーションが難しい
Webサイト運用を請け負う専門業者は多く、広い選択肢があります。しかし、自社の負担をどの程度アウトソースするのかを定め、多数ある提供事業者のサービス内容の明確な違いを理解し、さらに費用対効果やスムーズなコミュニケーションができる依頼先を決定するのは困難です。
そのため、デメリットを払拭する形で運用体制を支援してくれる事業者への相談を検討する必要があります。
Webサイト運用は、すべてを運用代行サービスに任せる前提で検討する必要はありません。運用代行サービスを活用する際は、Webサイト運用の丸投げではなく、自社に足りない、あるいは負担が大きい部分を任せられるサービスを選びましょう。主に、インフラやセキュリティ管理など、通常業務との兼任が難しい部分を運用代行サービスに任せるイメージです。
一方、情報発信などのスピード感が必要な更新作業まで任せてしまうと、更新の際の依頼手続きや請求管理などが発生し、手間が増えてしまう上、スピーディな更新ができなくなる可能性があります。
この場合検討されるのが、Webサイトの更新作業の内製化です。情報システム以外の部門でも行えるようにする場合、コンテンツをHTML化して公開するまでのプロセスが、サイト更新業務に慣れていない人でも対応できるようなCMSなどのシステム導入が必要です。しかし、これらを実現するためのシステムを作り、最適なサービスを選定して運用体制を整えることは容易ではありません。そのため、単に運用代行だけを支援するサービスではなく、幅広く複雑なニーズに対応できる複合的な支援サービスを選択する必要があります。
Webサイト運用の支援サービスは、運用を代行するだけのサービスではなく、内製移行も視野に入れた支援を行ってくれるサービスを選択することが大切です。
クラウドCMS「ShareWith」ならば、サーバーやネットワークなどのインフラ管理を任せられ、情報更新作業は内製化できる体制作りも支援してくれるなど、幅広いニーズに対応しています。これにより、内製体制を作ることも可能です。また、クラウドCMSサービスを活用しますので、CMSやコーディングの知識も必要なくなります。管理インターフェースも使いやすいため、情報更新作業などを各部門や部署に任せることもできるでしょう。
複合的な支援を含めたサービスならば、クラウドCMSの導入を検討してみましょう。
Webサイト運用の代行サービスを活用する場合は、運用代行ではなく内製化も可能にする複雑なニーズに応えてくれるサービスを選択することが大切です。
Webサイト運用にはさまざまな課題がありますが、代行サービスを選ぶ前に、そのメリットやデメリットを把握しておく必要があります。
内製体制を確保しながら、どこまでを運用代行サービスに任せるのかを定めて、サービスの導入を検討しましょう。
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