グローバルサイト構築や改善では、他社サイトの構築事例を参考にすることが重要です。

 

グローバルサイトの構築・運用をスムーズに行うためには、他社の事例を参考にすることも大切です。グローバルサイトおよびローカルサイトの構造やデザインの考え方を学び、方向性をイメージできれば、自社のグローバルサイト制作の効率化にも役立つでしょう。本記事では、グローバルサイトを展開する企業が、どのような企業を参考にしているのか、グローバルサイト運用経験者への意識調査を基に、実際に参考にされているグローバルサイトの事例について紹介します。

この記事のポイント

  • グローバルサイトの構築や運用には、他社の成功事例が参考になる
  • 企業のメッセージやブランドイメージ、商品やサービスを正確に伝えるという目的はいずれにも共通
  • グローバルサイト構造や構築・運用の効率を考慮してクラウドCMSを選定・導入する

グローバルサイトの役割

グローバルサイトは、企業のメッセージやブランドイメージ、商品やサービスを、ターゲットとする国や地域に発信するWebサイトです。言語やデザインを各国・地域に合わせ、SEOも現地に合わせたキーワードを用いるなどのローカライズを施します。また、ローカルサイトを持つ構造のグローバルサイトでは、アクセスユーザーに対し、適したローカルサイトへスムーズに誘導する窓口の役割も果たします。


グローバルサイトの詳細については「グローバルサイトとは?コンテンツ制作で意識すべき課題とCMSの活用」もあわせてご覧ください。

グローバルサイト運用経験者が参考にする企業サイト

グローバルサイトの担当者は、自社サイトの構築や改善を行う際、実際にどのような企業のグローバルサイトを参考にしているのでしょうか?実際に、グローバルサイトの運用経験者を対象にしたアンケート調査の結果を見てみましょう。

グローバルサイトの構築や改善で参考にしたい企業の円グラフ。1位がTOYOTA、2位Google、3位NECと大手企業が上位に並ぶ。

※野村インベスター・リレーションズ株式会社 調べ(2024年7月)

ノバセル株式会社提供サービス「ノビシロ」による調査結果


参考にしたいグローバルサイトの上位には、やはり大手企業が並びました。上位5社は次の通りです。

 

  • 1位:TOYOTA(17.1%)
  • 2位:Google(11.4%)
  • 3位:NEC(5.7%)※同率
  • 3位:SONY(5.7%)※同率
  • 3位:日立製作所(5.7%)※同率


それでは、これら上位に挙がった企業のグローバルサイトについて、詳しくみていきましょう。

グローバルサイト・ローカルサイト事例

グローバルサイトとローカルサイトは、企業によって構造が異なり、さまざまなタイプがあります。ここでは、上述の5つの企業についての事例をまとめました。各企業のサイトには「引用元」としてURLを記載していますので、各社の違いを確認してみてください。


※2024年7月時点の公開情報を基にしています。

トヨタ自動車株式会社

日本語サイト:https://global.toyota/jp/

英語サイト:https://global.toyota/en/

 

トヨタ自動車株式会社は、日本の愛知県豊田市に本社を構え、170以上の国や地域で事業を展開しています。


サイト上部のボタンで、日本語のサイトと英語のサイトを切り替え可能です。レイアウトやデザインは同じですが、最新ニュースやピックアップ情報などのコンテンツ内容は各サイトで異なります。たとえば、英語サイトのピックアップでは、SDGsの情報が上位に配置されています。

 

  • デザインの統一感:レイアウト・サイトの色味・ブランドカラーが統一
  • コンテンツ:日本語サイトと英語サイトで情報内容、または並びが異なる
  • 言語切り替え:ボタンで選択
     

Google LLC

日本語サイト:https://about.google/intl/ALL_jp/

英語サイト:https://about.google/intl/en_us/

 

Googleは、アメリカ合衆国のカリフォルニア州に本社を構え、検索エンジンやクラウドコンピューティングなどのサービスを提供しています。


レイアウトやデザインは統一されていますが、たとえばプロダクトのページでは、一部コンテンツが異なります。それぞれの地域に合わせた情報にローカライズされているということです。日本語のローカルサイトには言語切り替えボタンはありませんが、英語サイトでは、画面下部でスペイン語に切り替えることが可能です。

 

  • デザインの統一感:レイアウト・サイトの色味・ブランドカラーが統一
  • コンテンツ:日本語サイトと英語サイトで情報内容、または並びが異なる
  • 言語切り替え:ボタンで選択(英語サイト・スペイン語サイト)

日本電気株式会社(NEC)

グローバルサイト:https://www.nec.com/

日本向けサイト:https://jpn.nec.com/

アメリカ(北米)向けサイト:https://www.necam.com/

 

NECは東京都港区に本社を構え、50以上の国と地域にグローバル展開している電機メーカーです。


NECは、グローバルサイト配下に各国・地域のローカルサイトを持つ構造で、画面上部右からローカルサイトを選択できます。ローカルサイトのレイアウトは国や地域によって異なり、コンテンツもローカライズされています。

 

  • デザインの統一感:ローカルサイトのレイアウトは異なるが、概ね、全体的なデザインの統一感はある
  • コンテンツ:情報内容、または並びが異なる
  • 言語切り替え:グローバルサイトの一覧から選択

ソニー株式会社

日本語サイト:https://www.sony.co.jp/

英語サイト:https://www.sony.net/

 

ソニーは、東京都港区に本社を構える世界的な電機メーカーで、家電やネットワークサービスなど、さまざまなサービスを展開しています。


サイト上部のボタンで、日本語サイトと英語サイトを切り替えます。レイアウトやデザインは統一されていますが、事業紹介などのコンテンツ内容は若干異なります。たとえば、日本語サイトでは、ネットワークサービス「NURO」が紹介されているのに対し、英語サイトでは紹介されていません。

 

  • デザインの統一感:レイアウト・サイトの色味・ブランドカラーが統一
  • コンテンツ:日本語サイトと英語サイトで情報内容、または並びが異なる
  • 言語切り替え:ボタンで選択

株式会社日立製作所

グローバルサイト:https://www.hitachi.com/index.html

日本向けサイト:https://www.hitachi.co.jp/

アメリカ(北米)向けサイト:https://www.hitachi.us/

 

日立製作所は、東京都千代田区に本社を構える世界的な総合電機メーカーで、いわゆる白物家電をはじめ、半導体などコンピューター関連機器の製造、この他にも鉄道車両やエレベーターといった大きな製品も取り扱っています。


NECと同様に、グローバルサイト配下に各国・地域のローカルサイトを持つ構造で、サイト上部のボタンで、グローバルサイト、日本語サイトおよびローカルサイト一覧を切り替えます。レイアウトやデザインの統一性は高く、ヘッダーやフッター、グローバルナビゲーションといった共通要素が統一されています。一方、企業メッセージや事業紹介などのコンテンツ内容は大きく異なり、企業全体としての基本インターフェースは揃えつつも、コンテンツは各国の事情に合わせて独自に構成されているようです。

 

  • デザインの統一感:レイアウト・サイトの色味・ブランドカラーが統一
  • コンテンツ:各国で内容が異なる
  • 言語切り替え:グローバルサイトの一覧から選択

グローバルサイト運用のポイント

ここまで、グローバルサイトの事例を見てきましたが、次にグローバルサイトをスムーズに運用するためのポイントをいくつか押さえておきましょう。

各国・地域にマッチしたコンテンツ作り

グローバルサイトでは、ターゲットにする国や地域のユーザーに、自社の情報を正確に伝える必要があります。対象地域の言語やニュアンスを理解して多言語化し、トレンドを押さえたコンテンツを制作することが重要です。


また、各国・地域の法律や規制への配慮、インターネット速度やWebサイトを閲覧するデバイスなどの環境を考慮したコンテンツ作りを行い、各所にマッチした情報提供を意識することが大切です。


グローバルサイトの多言語化については、「Webサイトを多言語化してグローバルサイト化!ポイントやステップ、翻訳方法について解説」もあわせてご覧ください。
 

Web人材の確保

サービスを展開する国や地域にローカライズしたサイト制作には、その国や地域の言語や文化に精通した人材の確保が必要です。また、グローバルサイトおよびローカルサイトの運用・保守などの技術を持つ人材でなければなりません。


各国・地域において、自社のメッセージや発信情報を正確に伝えるためには、このような人材の確保が重要なポイントになります。

現地Web人材との意思疎通

各地の人材とのスムーズな意思疎通ができることも大きなポイントの一つです。ネイティブな人材でWebサイト運用・保守技術を持っていても、本社の意向を汲み取るなどの意思疎通ができなければ、グローバルサイトおよびローカルサイトでの情報発信を統一することができず、場合によっては企業の信頼性を損ねてしまいます。


特に、さまざまな国や地域でローカルサイトを展開する際には、各地の担当者と密なコミュニケーションを取り、企業としての情報の一貫性と、ローカライズされた情報更新をうまくコントロールして発信することがポイントになります。

Webガバナンスの強化

グローバルサイト運用では、Webガバナンス強化と維持にも配慮する必要があります。Webガバナンスは、運用や管理を統括するための体制や仕組みのことです。さまざまな国や地域向けにWebサイトを展開するグローバルサイトおよびローカルサイトを運用するためには、Webガバナンスの維持は欠かせません。
たとえば、言語や文化の異なる国や地域に、自社のブランドイメージや歴史・文化を正確に伝えるためには、ぶれることのない一貫した情報発信が大切です。特に、ローカルサイトを持つグローバルサイト構造では、現地の担当者に情報更新を任せる体制も考えられるでしょう。各国・地域の担当者が、独自の方法でバラバラに情報発信を行うと、企業イメージを損なう可能性があります。また、同じようなコンテンツが制作されてしまい、重複投資につながってしまいます。


このような事態を防ぐためにも、グローバルサイト制作ではガイドラインなどを設け、Webガバナンスの強化をすることがポイントの一つです。


Webガバナンスについては、「Webガバナンスとは?実現するメリットと成功させるためのポイントを解説!」にて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

複数のWebサイトをシンプル管理

グローバルサイトの構造にもよりますが、一般的にはグローバルサイトとローカルサイトで複数のWebサイトを運用することになります。そのため、いかにシンプルな管理ができるシステムを導入するかも大きなポイントです。


国内のみで複数のサイトを運用するだけでも、大規模化・複雑化したサイトの管理は煩雑になります。グローバルサイトでは、それがターゲットとなる国や地域など世界にまで広がりますので、シンプルでスムーズなWebサイト管理と、工数やコストの削減に大きく影響します。


グローバルサイトの構築については、「グローバルサイト構築の流れと準備、ポイントを解説」もあわせてご覧ください。

グローバルサイト運用はクラウドCMSで一元管理

グローバルサイトの構造には決まりがなく、企業によって異なります。また、運用体制や方法もサイト構造に合わせて作らなければなりません。そこで有効なのが、このようなグローバルサイトおよびローカルサイトなど、複数のWebサイトを一元管理できるクラウドCMSの導入です。

グローバルサイト運用におすすめのクラウドCMS「ShareWith」

グローバルサイト運用に活用するクラウドCMSの「ShareWith」は、大規模化・複雑化したグループ全体のサイトをシンプルに管理できます。もちろん、セキュリティ対策やインフラの管理はサービスに任せることができるため、情報更新作業をはじめとしたコンテンツ運用に集中できます。


さまざまな型で運用されるグローバルサイト構造に対応できるため、グローバルサイト配下のローカルサイトもまとめて構築・管理・運用することに適しています。


たとえば、ローカルサイトのベースサイトを一つ制作すれば、それを水平展開して、国や地域に適したコンテンツを取捨選択するだけで、各サイトを効率よく構築することが可能です。また、ShareWithは機械翻訳ツールとの連携が可能ですので、各国・地域に合わせた多言語化もできます。


グローバルサイト構築や運用には手間と時間、コストがかかりますが、ShareWithを使うことでこれらを大幅に削減することが可能です。


グローバルサイトのCMSについては、「グローバルサイト運用に最適なCMSの選定ポイント」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
また、ShareWithにはその他さまざまな機能がありますので、こちらをあわせてご覧ください。

まとめ

グローバルサイトの構築や運用には、他社の成功事例を参考にしてヒントを掴み、生かすことも大切です。


グローバルサイトの運用方法に決まりはありませんが、効率的な運用を実現し、企業のメッセージやブランドイメージ、商品やサービスを正確に伝えるという目的はいずれにも共通するものです。


自社の業種に近い、あるいは目指したいグローバルサイトの事例を参考に、サイト構築や運用に役立ててみてはいかがでしょうか。

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