企業の海外進出において、グローバルサイトの構築は非常に重要なポイントです。自社の歴史や強みなどを国際的にPRして信頼性を高め、深く認知してもらわなければなりません。そのためには、国や地域の文化、興味に合わせたローカライズと適した構成が大切です。本記事では、グローバルサイト構築における流れや事前準備、ポイントなどを解説します。

この記事のポイント

  • グローバルサイトは、目的とターゲットの明確化、言語選択といった流れで構築する
  • 企業として一貫性のあるドメインの準備や、運用体制を整えておくことが大切
  • 国や地域で法律や規制が異なるため、確実に対応しなければならない
  • ITインフラ環境に適したコンテンツ制作や、現地に合わせたSEOへの配慮も不可欠
  • グローバルサイト構築には、Web基盤の選定も重要

グローバルサイトとは

グローバルサイトとは、企業ブランドやメッセージ、商品やサービスを国際的に発信するためのWebサイトです。


グローバルサイトの全体構造は企業によって異なります。たとえば、グローバルサイトの配下に各国・地域の現地法人が運営するローカルサイトを持つ構造があります。この場合、ローカルサイトへの窓口の役割を果たす最上位のサイトがグローバルサイトと呼ばれます。また、ローカルサイトを持たず、言語切り替えのみに対応したグローバルサイトも存在します。

 

グローバルサイトについては「グローバルサイトとは?コンテンツ制作で意識すべき課題とCMSの活用」もあわせてご覧ください。

グローバルサイト構築の流れ

グローバルサイトを構築する際には、どのような手順があるのでしょうか。ここでは、構築の大まかな流れをみていきましょう。

目的とターゲット(ペルソナ)の明確化

グローバルサイトを構築する際には、まず目的とターゲットを明確にします。
グローバルサイトの目的は、企業ブランドの統一と周知を行うメッセージを世界に向けて発信して、国際的な競争力を向上させることにあります。この目的をしっかりと意識しておかなければ、コンテンツに載せるPRなどが弱くなり、メッセージを思うように伝えることは難しいでしょう。


同時に、ターゲットとなるユーザーが、どこの国・地域のどのような人に自社を知ってもらいたいのかを明確にすることによって、文化や習慣、言葉の使い方などのローカライズがしやすくなります。

対象地域の言語選定

目的とターゲットが明確になることで対象地域が決定しますので、グローバルサイトに実装する言語選択ができます。たとえば、ターゲットの国や地域に合わせて、日本語、英語、中国語の3つの言語で構築するなどです。

 

Webサイトのコンテンツに使用されている言語には英語が多く、全体の49.7%を占めているという調査結果もあるため、英語は必須の言語だといえるでしょう。

言語

使用率

英語

49.7%

スペイン語

5.9%

ドイツ語

5.4%

日本語

4.9%

フランス語

4.3%

ロシア語

4.1%

参照:Usage statistics of content languages for websites|w3techs.com

 

Webサイトの多言語化については、「Webサイトを多言語化してグローバルサイト化!ポイントやステップ、翻訳方法について解説」で解説していますので、あわせてご覧ください。

サイト構成の決定

言語を選択した後は、自社のグローバルサイトをどのように構成するかを決定します。グローバルサイトは企業によってさまざまな形があり、決まりはありません。


たとえば、最上位にグローバルサイトを持ち、配下に各国・地域のローカルサイトを配置する形は、わかりやすい構成の一つでしょう。
また、日本向けのトップサイトとは別にグローバルサイトを並立して持つ形や、日本語サイトと同じサイトを多言語化し、言語を切り替えて使うグローバルサイトの構成もあります。


サイト構成については、管理や運用方法に最適な形を検討する必要があります。

サイト構築

サイト構成が決まったら、グローバルサイトを構築します。このとき、各コンテンツはターゲットとなる国や地域への徹底したローカライズを意識しなければなりません。言語だけではなく、文章表現やデザインのトレンド、SEOなども重要であるため、現地のマーケティングに精通した人材との協力やサービスを活かすなどの工夫が必要です。


また、構築の難易度や運用体制などを加味して導入するCMSの検討は、その後円滑なサイト運用ができるかどうかを左右します。


すでに、複数のWebサイトを運用しており、それをグローバルサイトとして再構成する場合は、複数のサイトをまとめることが可能なCMSを活用するとよいでしょう。

 

グローバルサイトの事例については、「グローバルサイト事例5選!グローバルサイト運用経験者が選ぶ、大手グローバル企業のサイト構築例を紹介!」で紹介しているのであわせてご覧ください。

グローバルサイト構築準備に必要なこと

グローバルサイトを構築するためには準備が必要ですが、中でも、ドメインや運用体制を整えておくことが重要です。

ドメインの準備

グローバルサイトには、国や地域に合わせたドメインを用意します。たとえば、日本向けサイトならば「〇〇.jp」、アメリカ向けサイトならば「〇〇.us」、中国向けならば「〇〇.cn」などが用いられます。


ただし、ドメインの管理工数やランニングコストがかかります。また、同じ名称のドメインがすでに取得されている国があった場合、該当国のドメインが取れず、統一感がなくなってしまいます。


そのため、多くの国や地域でグローバルサイトを展開する場合には、国ごとのドメインを取得するよりも、サブドメインで管理をした方がよいでしょう。
たとえば、「〇〇.com」というドメインを基に、アメリカ向けであれば「us.〇〇.com」、中国向けであれば「cn.〇〇.com」といった形です。


あるいは、サブディレクトリを活用する方法もあります。これは、「〇〇.com」というドメインをベースに、その配下に各国・地域用のドメインを追加する方法です。たとえば、「〇〇.com/us」、「〇〇.com/cn」とすることで、ドメインを分けることが可能です。


ドメインは企業ブランディングの戦略として重要です。URLの不統一は、企業の信頼性にも影響する可能性があります。また、運用を始めた後に変更することは避けたいため、戦略的に検討を重ねましょう。

運用体制

グローバルサイトの構築にあたり、運用体制をしっかりと整えておく必要があります。


たとえば、グローバルサイトは常に最新の情報を提供するために情報更新が必要不可欠です。ターゲットの国や地域にローカライズした情報をそれぞれ更新していかなければなりません。また、グローバルサイト配下に各国・地域のローカルサイトも、現地のマーケットに合ったコンテンツ更新ができるように、ある程度の自由度を持たせておくことが大切です。


そのためには、各地に運用人材を配置し、スムーズな連携を取れる運用体制が不可欠です。詳細なガイドラインで厳しく統制するだけではなく、全体のバランスを取りながら運用できる環境を構築する必要があります。

グローバルサイト構築のポイント

グローバルサイトを構築する際には、いくつかのポイントを押さえておくとよいでしょう。ここでは、4つのポイントをみていきましょう。

法律や規制への配慮

ターゲットにする国や地域によって、サイト上で公開する情報に注意する必要があります。具体的には、個人データ保護の扱い、消費者プライバシー法、インターネットの検閲と監視など、現地の法律や規制などをチェックして対応することです。


以下、配慮すべき法律や規制についての例を3つ示します。

 

  • GDPR:EUにおける一般データ保護規則のことで、EU圏内の個人情報収集や処理を定めた法令です。
  • CCPA:カリフォルニア州の消費者プライバシーを保護する法律です。企業が個人データを集める際に「個人情報をどのように利用するのか」を知らせることで、カリフォルニア州に住む人達にプライバシー情報の扱いに対する管理権限を与えているものです。
  • グレート・ファイアウォール:中国政府が定めている検閲システムです。中国政府に批判的なコンテンツや、政府にとって不利な情報など、国民に反政府的な感情を抱かせる可能性のあるWebサイトやコンテンツを遮断します。


その他、各国・地域の規制や規則がありますので、グローバルサイト構築の際には現地情報を詳細に調査し、準拠したサイト構築とコンテンツ制作を行うことが不可欠です。

国や地域のインフラ環境対応

国や地域によっては、インターネットの通信速度が遅かったり、低スペックデバイスを使用していたりします。このようなインフラ環境に対応したWebサイトやコンテンツ制作を意識することも大切です。


たとえば、通信回線の速度が遅い地域では、大容量の画像表示が遅くなる可能性もありますし、YouTubeなどのストリーミング動画をスムーズに閲覧することが難しい環境もあります。これらに対応するためには、該当地域に発信するコンテンツのデータ容量を最小限に抑え、ユーザーが快適に閲覧できるWebサイトを構築しなければなりません。

国や地域によるSEOの違いを把握

SEOは、国や地域によって差別化する必要があります。ユーザーが検索する際のキーワードの違いなどが挙げられますが、これを誤るとオーガニック検索による顧客獲得が低減してしまうでしょう。


SEOについても、対象地域のWebマーケティングに精通した人材や事業者と連携することが大切です。

グローバルサイトに適したCMSの活用

グローバルサイトを構築する上では、どのようなCMSを選択するかが重要なポイントの一つになります。

 

上述のとおり、構築されるグローバルサイトは、企業によって様々な型があります。どのような型にも柔軟に対応できる(サイト構造が変更しやすい)CMSを利用しましょう。

 

ローカルサイトを構築、もしくは既存サイトを統合させていく場合は、サイト仕様を統一する必要もあります。この場合、ベースとなるサイトを定義し、各国に水平展開していく構築方法が考えられますが、この点においても、CMSの柔軟さが必要になります。

 

また、CMSの操作性も重要です。高機能でも操作が複雑であれば、操作の学習やマニュアル整備の負担も大きくなり、特に、各国のローカルサイトの場合は持続的な運用が難しくなります。

 

このように、グローバルサイトや、配下のローカルサイトを安定的に運用するには、基盤となるCMS選定が大きなポイントになるのです。
 

グローバルサイト構築ならクラウドCMSの「ShareWith」

グローバルサイトを構築する際には、カスタム開発の必要が少ないクラウドCMSの活用が適しています。中でも「ShareWith」は、企業組織利用を前提に、Webサイト運用に慣れていない人でも使いやすい簡単な操作でコンテンツを編集できる作りになっているため、更新業務の内製化が実現しやすいCMSです。


各国・地域に展開するグローバルサイトを構築し、さらに複数のローカルサイトを持つ構成を実現させるCMSとして、ShareWithは最適なクラウドCMSだといえるでしょう。


たとえば、ShareWithでは管理画面上でのサイト、ディレクトリ、ページ単位、さらにはコンテンツのパーツ単位で複製や共有が容易にできます。グローバルサイトの様々な型に対応できることはもちろん、ローカルサイトの構築においても、ベースサイトを基にした各国への水平展開や、企業ブランドコンテンツをモジュール化して共有する、といったことができるため、工数の大幅な削減が期待できます。操作性も良く直感的に使えるユーザーインターフェースを実装しているため、運用担当者の学習コストもほとんどかかりません。

 

また、「WOVN」などの自動翻訳サービスを簡単に組み込めるため、予めベースサイトに組み込んでおけば、多言語化の工数も低減できます。

 

グローバルサイトおよび各国・地域のローカルサイトもまとめてひとつのプラットフォームに管理・運用できるため、サイトのセキュリティを一定水準に保てることも「ShareWith」の大きなメリットになります。

 

多数のWebサイトを構築、移行する場合は「ShareWith群」によるソリューションが最適です。こちらで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

また、グローバルサイトのCMSについては、「グローバルサイト運営に最適なCMSの選定ポイント」もあわせてご覧ください。

まとめ

グローバルサイト構築では、その目的とターゲットを決め、対象の国や地域に合わせた言語選択を確定することが大切です。


また、グローバルサイトを構築するにあたり、各国・地域に対応したドメインを用意し、構築後の運用体制を万全に準備しておかなければなりません。
グローバルサイトの実際の構築では、国や地域の法律や規制を詳細に調べ、確実に対応することが重要です。また、現地のITインフラ環境に合わせたコンテンツ作りやSEO対応も、サイトのローカライズに欠かせないものです。

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