グローバルサイトの多言語対応では、どのような翻訳方法を採用するかも重要なポイントです。

 

グローバルサイト構築には多言語化が欠かせません。自社のブランドやメッセージ、商品やサービスをPRするためには、Webサイトをターゲットの国や地域に合わせた言語に翻訳する必要があります。本記事では、多言語化とは何か、そのポイントや翻訳方法などについて解説します。

この記事のポイント

  • Webサイトの多言語化とは、サイト内のコンテンツを複数の言語に対応させること
  • 多言語化は、自社サイトの内容を世界へ正確に伝えるために必要な作業
  • 単に翻訳するだけではなく、ニュアンスや語彙、文脈までローカライズすることが大切

Webサイトの多言語化とは

Webサイトの多言語化とは、サイト内のコンテンツを複数の言語に翻訳して対応させることです。日本語、英語、中国語など、自社がターゲットとする国や地域の言語に適応させます。これは、グローバルサイトを構築する際の、Webサイトのローカライズに重要な作業です。


グローバルサイト内に言語切り替えボタンなどを設置して、それぞれの国や地域のユーザーが理解できる言語サイトを表示させます。切り替えボタンは、日本語ならば「JP」、英語ならば「EN」、中国語ならば「CN」などのボタンを、グローバルサイト内に設置します。

多言語化が不可欠な理由

多言語化は、Webサイトの内容を地域ユーザーへ正確に伝えるために必要な作業です。


ただし、サイト内のテキストを単に翻訳するのではなく、現地の言葉遣いや文化、SEOに有効なキーワードを意識した翻訳が必要です。


たとえば、英語で書かれたサイトをブラウザで日本語に翻訳しても、表現がわかりにくい、スムーズに読めない、そもそも意味が理解できない、といった経験はないでしょうか。このような翻訳では、現地のネイティブスピーカーにWebサイトのコンテンツで意図していた内容を正確に伝えることは困難です。


そのため、現地の言語やSEOを意識した翻訳による多言語化が求められます。

 

グローバルサイトについては、「グローバルサイトとは?コンテンツ制作で意識すべき課題とCMSの活用」でも解説していますので、あわせてご覧ください。
 

Webサイトを多言語化するステップ

グローバルサイトなどのWebサイトを多言語化するには、いくつかの手順があります。ここでは、多言語化するステップをみていきましょう。

ステップ1:多言語化する目的とターゲットの国や地域の明確化

多言語化は、ターゲットとなる国や地域のユーザーに情報を正確に伝えるための手段であり、目的です。


多言語化する目的が明確になれば、Webサイトのローカライズの方向性も見えてくるはずです。自社が狙う国や地域のマーケットユーザーも確定するでしょう。企業情報を発信するイメージやメッセージをターゲットの国や地域のユーザーに理解してもらうためのテキストやデザインのイメージも見えてきます。

ステップ2:言語の選択

多言語化の目的とターゲットの国・地域が確定したら、各地で使われている言語を選択し決定します。グローバルサイトを持つ多くの企業では、英語や中国語、韓国語にて多言語化しているケースが多く見られます。


しかし、自社の狙うマーケットが必ずしも当てはまるわけではありませんので、あくまでも自社で定めたターゲットの国や地域に適した言語を選択してください。


ただし、世界のWebサイトで利用されている言語は、英語が49.7%と多くを占めていますので、英語への多言語化は盛り込んだほうがよいでしょう。
以下、世界で使用されているWebサイトの言語割合(2024年7月時点)です。言語選定の参考にしてください。ここでは、上位10位までを記載しています。

順位

言語

使用率

1位

英語

49.7%

2位

スペイン語

5.9%

3位

ドイツ語

5.4%

4位

日本語

4.9%

5位

フランス語

4.3%

6位

ロシア語

4.1%

7位

ポルトガル語

3.7%

8位

イタリア語

2.6%

9位

オランダ語、フラマン語

2.1%

10位

トルコ語

1.8%

翻訳方法の選択

翻訳の方法には、大きく分けて機械翻訳と手動翻訳の2種類があります。
機械翻訳は、サイト内のテキストを、ツールやサービスなどを使って翻訳する方法です。近年では、AIを活用して自然な形の文章に翻訳してくれるサービスもあります。機械翻訳は、単語を単語に翻訳するだけではなく、テキスト全体の意味が通る形で翻訳可能です。翻訳工数やコストを大幅に削減できることが機械翻訳のメリットです。


手動翻訳は、翻訳者がサイトやコンテンツを翻訳する方法です。自社の製品・サービスへの理解だけではなく、対象の国や文化、マーケットにも精通した人材が翻訳すれば、現地ユーザーがサイトを閲覧した際に、違和感なく情報が伝わるでしょう。ただし、人の手による翻訳であるため、時間と工数、コストがかかります。もちろん、高いスキルを持つ人材を見つける手間もあるでしょう。


それぞれの特徴を理解した上で、翻訳方法の選択をする必要があります。
 

Webサイトの多言語化

翻訳方法が確定したら、Webサイトを多言語化していきます。多言語化を自社で行う場合は、ターゲットの国や地域の言葉や文化に詳しい人材との協力はもちろん、各国・地域のSEOにも精通する人材とのやり取りが欠かせません。自社だけで多言語化を行うのが難しい場合は、制作を専門の事業者に依頼する方法もあります。


制作体制に合わせて、多言語化の方法を検討しましょう。
 

多言語化をする際の注意点

多言語化を行う際には、いくつかの注意点があります。

国や地域へのローカライズ

多言語化で重要なのは、それぞれの国や地域に合わせたローカライズも含めて言語化することです。単に翻訳しただけでは、ニュアンスや意味が伝わらない可能性があるので注意しなければなりません。


また、サイト内の情報の並びについても意識しましょう。言語が異なれば、情報の並べ方も変わってきます。たとえば、日本語サイトでは「あいうえお」順に並べた情報も、英語圏ではアルファベット順に並べるなどの配慮が必要です。また「◯(まる)」や「✓(チェック)」などの記号が表す意味の違いも含めて、多言語化を進める必要があります。

自動翻訳に頼りすぎない

自動翻訳の翻訳内容をそのままサイトに掲載することは避けるべきでしょう。現地のネイティブスピーカーにとって違和感のあるニュアンスや語彙、文脈などが残っている可能性があるからです。


わかりやすい例では、英語のサイトを単純に日本語化したときの違和感です。なんとか意味を読み取れる文章もありますし、何度か読めば理解はできる、という文章もあります。しかし、多言語化において、このような読みにくさは完全に取り除かなければなりません。


自動翻訳サービスの中には、独自の管理画面を持ち、事前に特定の単語の辞書登録が可能なものがあるなど、翻訳精度を担保するための機能が提供されていることもあります。


自動翻訳の活用は、翻訳工数やコスト削減に繋がります。しかし、翻訳結果は必ず人が目を通して校正する必要があります。

問い合わせ対応の体制作り

多言語化されたWebサイトは、該当言語を読むことができる国や地域からの問い合わせを受けます。そのため、問い合わせ対応の体制作りをしておくことが大切です。


問い合わせフォームのローカライズをすることはもちろんですが、各国・地域からの問い合わせに対して、適した言語での回答ができるようにしておかなければなりません。


これは、多言語化に付随して発生する業務ですが、グローバルサイトを展開する際には不可欠なものです。


グローバルサイトの構築については、「グローバルサイト構築の流れと準備、ポイントを解説」で解説していますので、あわせてご覧ください。

Webサイトを多言語化する方法

グローバルサイトなどのWebサイトを多言語化する方法には、手動翻訳と機械翻訳サービスを活用した翻訳があります。


手動翻訳は先述の通り、人の手によって翻訳する方法です。特にグローバルサイトの多言語化では、国や地域に合わせた表現やニュアンス、文章構成などが必要です。現地のネイティブスピーカーが書く文章のように、読みやすく違和感のない翻訳をするには、手動翻訳が最も適しているでしょう。


しかし、人材の確保や翻訳工数・コストは、多言語化するサイトやコンテンツの量に比例して増加することがデメリットです。特に、サイトに更新があった場合に、対応する言語すべてを再度翻訳する必要が出てきます。


そこで活用したいのが機械翻訳サービスを利用した翻訳方法です。

機械翻訳サービスの活用

多言語化の翻訳にクラウドツールを活用すれば、機械翻訳そのものは瞬時に行えます。サイトに指定のタグを挿入しておくだけよいことがほとんどで、コストの削減に繋がるでしょう。
翻訳のクラウドツールは、さまざまな事業者が提供しています。

 

  • ポリリンガル
    ポリリンガルは、14言語に対応している多言語化サービスです。Webサイト内のテキストを単語に分解し、その単語をどのように翻訳するかを確認できるため、ニュアンスが異なる単語を自由に編集して翻訳を修正できます。
    また、ポリリンガルがWebサイトと同期するため、日本語でテキスト情報を更新すれば、リアルタイムに多言語サイトも更新されます。その他、管理画面では画像の置き換えなども行えます。
     
  • Spoke
    Spokeは、36言語に対応した多言語化サービスです。WordPressやMovable Typeなど、さまざまなCMSに導入できます。
    URLを入力して簡易的な多言語化を行うダウンロード版や、WordPressなどのCMSにAPIで連携するWordPress版などを提供しています。
     
  • WOVN.io
    WOVN.ioは、最大43言語の多言語化に対応しており、機械翻訳を用いてWebサイトの多言語化を行います。コンテンツの更新や追加を自動検知して、更新追加された部分だけを翻訳対応するコンテンツ自動検知機能は、アメリカやシンガポール、中国などの国や地域で国際特許を取得している独自機能です。
    サイトの言語に合わせて画像を切り替えるUXの最適化や、オープンソースCMSのWordPressはもちろん、コーポレートサイト運用に適したクラウドCMSのShareWithにもタグを入れるだけで導入できます。

多言語化ツールと連携できるCMSを活用する

多言語化するWebサイトでは、多言語化ツールと連携可能なCMSの活用を検討するとよいでしょう。特にグローバルサイトを構築する場合には、コーポレートサイト構築に強く、多言語化ツールとも連携できるクラウドCMSを使うことで、Webサイトのインフラ管理・運用やセキュリティ対策はもちろん、多言語化における人材確保の手間やコスト削減に繋がります。

機械翻訳ツールと連携できる「ShareWith」

多言語化ツールに連携できるCMSにはさまざまなサービスがあります。中でも、あらゆるサイトを統合管理できるクラウドCMSの「ShareWith」は、先述の「WOVN.io」と連携した多言語化もサポートするCMSです。


たとえばグローバルサイト構築をする際にも、機械翻訳を通じて多言語化も容易に行えます。また、グローバルサイトと、その配下に配置されるローカルサイトを、一つのプラットフォームで管理できるため、大規模化・複雑化したWebサイトでもシンプルな管理と運用が可能です。ローカルサイト構築に関しても、ベースサイトを水平展開し、国や地域にローカライズすれば、Webサイト構築の工数を大幅に削減できます。


直感的に使えるユーザーインターフェースを備える「ShareWith」ならば、各地域の運用担当者も、学習コストもそれほどかからないでしょう。多言語化するWebサイト構築にも、グローバルサイト構築にも、「ShareWith」の活用はさまざまなメリットをもたらします。


「ShareWith」と「WOVN.io」をはじめとしたさまざまなクラウドサービスとの連携についてはこちら、ShareWithが持つ様々な機能についてはこちらで詳しく解説しています。

 

また、グローバルサイトで活用したいCMSについては、「グローバルサイト運営に最適なCMSの選定ポイント」もあわせてご覧ください。

まとめ

Webサイトの多言語化は、サイト内のコンテンツをさまざまな国や地域のユーザーへ届けるために欠かせません。多言語化をする際は、まずはその目的やターゲットとなる国・地域を明確化してから、言語を選択することが大切です。
翻訳の方法には、手動翻訳や自動翻訳があります。いずれにしても、単に翻訳するだけではなく、ネイティブな言語を使うユーザーにとって、語彙やニュアンス、文脈に違和感を与えない翻訳をしましょう。


翻訳には多言語化に使える翻訳ツールの活用が便利です。多言語化の工数やコストの削減も視野に入れて、多言語翻訳ツールと連携可能なクラウドCMSの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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