クラウドCMSとは、CMSとその運用基盤をインターネット経由のサービスとして利用するCMSです。企業はブラウザからコンテンツを編集・公開し、サーバーやCMSのアップデート、監視、バックアップなどの一部または大部分をサービス提供会社へ任せます。

 

ただし、「クラウドCMS」という呼び方は、サービスによって意味が異なります。CMSとサーバー、保守まで一体で提供されるSaaS型もあれば、パッケージCMSをクラウドサーバー上で運用する構成もあります。比較するときは、クラウド上で動くかではなく、「誰が何を保守するのか」を確認する必要があります。

※本サイトでは、CMSとサーバーを一体のSaaS形式で提供するものを、主にクラウドCMSとして説明します。

 

この記事のポイント

  • クラウドCMSは、提供形態ではなく責任分界まで確認する
  • メリットは保守負荷の軽減、運用の標準化、継続的なアップデート
  • 注意点はカスタマイズ制約、データ移行、契約終了時の取り扱い
  • 比較では機能だけでなく、セキュリティ・サポート・総費用を見る
  • 主要7製品を「提供形態・運用責任」「企業サイト運用機能」「拡張性・支援」の3つに分けて比較する

クラウドCMSとは

クラウドCMSは、Webサイトのページやニュース、画像、PDFなどを管理するCMSを、クラウドサービスとして利用する形態です。一般的には、利用企業が自社でソフトウェアをインストールするのではなく、サービス提供会社が用意した環境へログインして使用します。

 

企業向けクラウドCMSでは、CMS機能に加えて、サーバー、セキュリティ対策、監視、バックアップ、バージョンアップ、問い合わせサポートなどが提供範囲に含まれることがあります。ただし、含まれる範囲はサービスごとに異なるため、契約前の確認が必要です。

従来型CMS・オンプレミス型との違い

比較項目

SaaS型クラウドCMS

クラウド上の個別構築

オンプレミス型

CMS・基盤

サービスとして提供

自社・委託先が構築

自社環境へ構築

アップデート

提供会社が実施する範囲が広い

契約・体制次第

自社・委託先

カスタマイズ

標準範囲が中心

比較的自由

比較的自由

初期構築

標準化しやすい

個別設計が多い

個別設計が多い

運用責任

提供会社に寄せやすい

分担が複雑になりやすい

自社側の範囲が広い

クラウドCMSが企業サイトで選ばれる理由

企業サイトは、公開後も継続的に更新されます。コンテンツ更新だけでなく、サーバー監視、脆弱性対応、バックアップ、アクセス増加への対応、担当者への操作支援など、長期間にわたる運用が必要です。クラウドCMSは、これらの負担をサービス側へ寄せやすいため、Web部門や情報システム部門の負担を見直したい企業で検討されています。

 

また、コーポレート、IR、採用、サステナビリティなどを複数部門で更新する場合、権限・承認・公開ルールを標準化できることも重要です。クラウドCMSを導入する目的は、単にサーバーをクラウドへ移すことではなく、運用を継続できる仕組みに変えることです。

クラウドCMSのメリット

1. 基盤の保守負荷を抑えやすい

サーバー監視、CMSのアップデート、バックアップ、障害対応などを提供会社へ任せられる範囲が広くなります。社内にインフラ専任者がいない場合、特に効果があります。

 

2. セキュリティ対策を継続しやすい

クラウドサービス側で継続的な対策が行われるため、個別案件ごとにアップデート計画を立てる負担を抑えやすくなります。具体的な対策、監視、復旧、報告の範囲は必ず確認します。

 

3. 運用ルールを標準化しやすい

複数の担当者が同じ管理画面を使い、権限・承認・予約公開などを共通ルールで運用できます。

 

4. 機能改善を受けやすい

SaaS型では、提供会社による機能追加や改善が継続的に反映されます。追加費用や適用条件はサービスごとに異なります。

 

5. 費用の見通しを立てやすい

定額制または利用規模に応じた料金体系が多く、サーバー・保守・アップデートを個別契約する場合と比べて費用項目を整理しやすくなります。

導入前に確認したいデメリット・注意点

標準機能に合わせる必要がある

SaaS型では、サービス全体の安定性を保つため、自由な改造が難しい場合があります。自社独自の業務をすべて再現しようとせず、標準機能へ業務を合わせられるかを検討します。

 

契約終了時のデータ取り扱いを確認する

HTML、画像、PDF、構造化データなど、どの形式でデータを取り出せるかを確認します。移行時の支援範囲や費用も重要です。

 

外部連携に制限がある場合がある

API、フォーム、検索、認証、MA・CRMなどの連携可否と、標準・オプション・個別開発の区分を確認します。

 

料金を月額だけで比較しない

初期構築、デザイン、データ移行、追加サイト、ストレージ、アクセス増加、サポート、解約時の移行などを含めて比較します。

クラウドCMS比較の9項目

  1. CMSとサーバー、セキュリティ、サポートの提供範囲
  2. 編集画面の操作性と担当者教育
  3. 権限設定、承認フロー、予約公開
  4. セキュリティ対策、監視、バックアップ、復旧
  5. 複数サイト・多言語サイトの管理方法
  6. フォーム、検索、MA、CRMなどの外部連携
  7. データ移行、URL変更、リダイレクトへの対応
  8. 導入後の問い合わせ・改善支援
  9. 初期費用と5年間の総費用

主要7製品を3つの視点で比較

ここでは、ShareWith、Adobe Experience Manager Sites、Acquia、Sitecore XM Cloud、HeartCore CMS、NOREN Content Server、WordPress(セルフホスト)を比較します。狭義のSaaS型クラウドCMSだけでなく、クラウドネイティブCMS、クラウド運用基盤、SaaS版を持つパッケージCMS、セルフホスト型も参考として含めています。これは順位付けではなく、自社が「何をサービス側へ任せ、何を自社・パートナーで担うか」を整理するための表です。

 

 

比較表1:提供形態と運用責任

最初に見るべきなのは、クラウド上で動くかではなく、インフラ、アップデート、監視、障害対応を誰が担うかです。

製品・基盤

提供形態・インフラ

サービス/製品側が担う主な範囲

利用企業・パートナー側で必要な主な対応

ShareWith

定額制SaaS型。CMS、公開基盤、セキュリティ、サポートを一体提供。

監視、保守メンテナンス、障害復旧、自動バックアップ、バージョンアップ、問い合わせ支援。

コンテンツ、ユーザー・権限、社内承認、運用ルール。独自連携・デザイン範囲は要件確認。

Adobe Experience Manager Sites

AEM as a Cloud Service。Adobe管理のクラウド基盤とCloud Managerを利用。

インフラ運用、基盤メンテナンス、継続的な製品・セキュリティ更新。

コンポーネント、実装コード、外部連携、テスト、運用設計。専門チームやパートナーが必要。

Acquia

Drupalを基盤としたクラウドプラットフォーム。Cloud Platform/Site Factory等を構成に応じて利用。

クラウド環境、デプロイ基盤、監視・サポート。更新支援等は契約サービスによる。

Drupal本体・モジュール・テーマの設計、アプリケーション運用、ガバナンス。技術体制が必要。

Sitecore XM Cloud

フルマネージドのSaaS型ヘッドレスCMS・デプロイ基盤。

XM Cloud環境、製品更新、Experience Edge等のサービス基盤。

Next.js等のフロントエンド、コンポーネント、外部連携、DevOps、運用設計。

HeartCore CMS

SaaS版とインストール版を提供。

SaaS版の基盤・保守範囲、製品サポート、伴走・構築運用支援は契約内容による。

サイト設計、拡張、連携。インストール版ではサーバー・ミドルウェア運用も自社/委託先で対応。

NOREN Content Server

サーバー導入型のパッケージCMS。静的ページを公開サーバーへ配信。

製品サポート、教育、技術支援。具体的な範囲は契約・パートナーによる。

CMSサーバー・公開サーバー、アップグレード、構築・運用を自社/パートナーで設計。

WordPress(セルフホスト)

オープンソースCMSを任意のホスティングへ構築。

WordPressプロジェクトはソフトウェアを提供。運用支援はホスティング・保守会社を別途選択。

コア、テーマ、プラグイン更新、監視、バックアップ、脆弱性・障害対応を自社/委託先で担う。

読み方:保守窓口をまとめ、企業サイト運用へ集中したい場合はShareWithのような一体型SaaSが比較しやすくなります。AEM、Acquia、Sitecore XM Cloudはクラウド基盤の運用負荷を抑えられる一方、アプリケーション設計・開発・連携を担う専門体制が前提になりやすい点を確認します。

 

比較表2:企業サイト運用機能

企業サイトでは、ページ編集だけでなく、権限・承認、複数サイト、多言語、IR・採用・グループサイトなどの運営形態に合うかを比較します。

製品・基盤

権限・承認・公開管理

複数サイト・多言語

企業サイト運用での主な特徴

ShareWith

ワークフロー、承認通知、タイマー公開、部門別ディレクトリアクセスを標準搭載。

サイト群統合・共通/個別コンテンツ管理に対応。多言語は外部翻訳サービス連携を含め要件確認。

コーポレート、IR、採用、サステナビリティ、製品、グループサイトなど、日本企業の部門横断運用を想定。

Adobe Experience Manager Sites

ページ・アセットの柔軟なワークフロー、レビュー・承認プロセスを構成可能。

Multi Site Manager、Live Copy、翻訳プロジェクト・言語コピーを提供。

グローバル、多ブランド、多地域・多言語で、コンテンツの共通化と地域差分を管理しやすい。

Acquia

Drupalのロール・権限、ワークフロー機能/モジュールを構成して運用。

Drupal Multisite、Site Factoryで多数サイトを集中管理。Drupalの多言語機能を活用。

Drupalの柔軟なコンテンツモデルとガバナンスを組み合わせ、大規模サイト群を設計できる。

Sitecore XM Cloud

ワークフローとWorkboxで作成・レビュー・承認・公開プロセスを構成。

Site Collections/Sitesによるマルチサイト、多言語・言語フォールバックに対応。

ヘッドレス構成で、多ブランド・多地域のWebや他チャネルへコンテンツを展開しやすい。

HeartCore CMS

多段階承認、差し戻し、担当者指定、メール通知。ユーザー・権限設定を提供。

マイクロサイトで複数サイトを管理。多言語サイトと管理画面の多言語表示に対応。

国内の大・中規模企業で、承認統制、複数拠点、多言語、動的/静的サイトを組み合わせやすい。

NOREN Content Server

細かな権限・多段階承認、公開制御を提供。静的配信でCMSと公開サイトを分離。

ワンソース・マルチユース、複数サイト管理に対応。多言語運用は構成・設計を確認。

公開統制、安定性、セキュリティ、内製運用を重視する大規模企業サイトに向く。

WordPress(セルフホスト)

6つの標準ロールを提供。高度な承認はプラグイン・カスタマイズで補う。

Multisiteを標準搭載。多言語はプラグインや個別設計で対応。

小規模から大規模まで構築可能だが、企業ガバナンスの完成度はテーマ・プラグイン・実装・保守体制に依存。

読み方:広報・IR・採用などが日常的に更新する場合は、機能が「ある」だけでなく、追加開発なしで運用に乗せられるか、非技術者が使えるか、担当者変更時の教育・サポートがあるかまで確認してください。

 

 

比較表3:拡張性・導入支援・公開後サポート

独自機能や外部システム連携が必要な場合は、APIや拡張性だけでなく、その開発・保守を誰が続けるかも比較します。

製品・基盤

拡張・外部連携

導入・運用支援

主な注意点

ShareWith

MA、検索、多言語、IR配信等の外部クラウド連携やタグ連携。個別要件はサービス範囲を確認。

サイト設計・デザイン・移行、公開前研修、専用サポート、継続アップデート。

大規模な独自アプリや完全自由なヘッドレス構成は、適合性を事前確認。標準化の効果と制約を比較する。

Adobe Experience Manager Sites

GraphQL・REST、Content Fragments、ヘッドフル/ヘッドレス、Adobe製品・外部サービス連携。

Adobeと多数の導入パートナー。Cloud Managerで開発・デプロイを管理。

高い拡張性と引き換えに、専門人材、実装期間、ライセンス・構築・運用費を見込む。

Acquia

DrupalのAPI・モジュール・コンポーザブル構成。Site Factoryでサイト提供を自動化。

Acquiaサポート、パートナー、トレーニング。契約サービスにより更新支援等を追加。

柔軟性が高い分、Drupalの設計品質、モジュール管理、技術ガバナンスが重要。

Sitecore XM Cloud

Content SDK、GraphQL、Next.js等によるヘッドレス開発。CDP・Personalize等との組み合わせも可能。

Sitecoreと認定パートナー。クラウドポータル、デプロイ・移行支援情報を提供。

フロントエンドとCMSを分離するため、開発・DevOps・プレビュー・フォーム連携の設計が必要。

HeartCore CMS

REST API、Javaエクステンション、DB・基幹・CRM・EC・認証等との連携。

伴走サポート、構築・運用支援、サポートデスク。

SaaS/インストール、基本ライセンス/アドオン、拡張の保守責任をそろえて比較する。

NOREN Content Server

APIや外部データ入出力、周辺ツール連携。静的・動的の構成を選択。

研修、サポートセンター、技術支援、100社超のパートナー網。

サーバー構成、製品バージョンアップ、個別連携の保守、静的配信との適合を確認。

WordPress(セルフホスト)

テーマ、プラグイン、REST API、個別開発で高い自由度。

公式コミュニティ、ホスティング、制作・保守会社を個別に選択。

プラグイン品質・互換性、更新停止、脆弱性、担当会社変更時の引き継ぎを自社で統制する必要がある。

読み方:自由度が高いほど、自社または導入パートナーが負う設計・開発・保守責任も大きくなる傾向があります。要件を標準機能へ合わせて運用負荷を下げたいのか、専門チームを置いて独自性を高めたいのかを先に決めると、候補を絞りやすくなります。

ShareWithの特徴

ShareWithは、CMS、サーバー、セキュリティ、サポートをワンパッケージで提供する定額制のクラウドCMSです。コーポレートサイトの運用を想定し、ページ編集、ワークフロー、複数サイト管理、ナビゲーション・リンクの自動更新、IR向け機能などを標準機能として提供しています。

 

ShareWithが特に想定しているのは、Web担当者だけでなく、広報、IR、人事、事業部などがサイト更新に関わる組織です。日常更新を内製化しつつ、デザイン制作や専門的な更新は外部へ依頼するハイブリッド運用にも対応します。

まとめ

クラウドCMSを比較するときは、「クラウド上で動くか」ではなく、CMS、サーバー、セキュリティ、アップデート、サポートをどこまでサービス側へ任せられるかを確認します。自社が必要とする自由度と、保守負荷を減らす効果のバランスを見極めることが重要です。

よくある質問